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ロゼレム(ラメルテオン)

ロゼレム(主成分:ラメルテオン)は、武田薬品が2005年にアメリカで発売を始めたメラトニン受容体アゴニストです。日本ではまだ承認されていません。

ロゼレムは、これまでの不眠症治療薬とは異なり、自然に近い生理的睡眠を誘導する、新しい作用メカニズムを持つ睡眠薬です。ロゼレムのターゲットであるメラトニン受容体は、脳内にあるタンパク質で、睡眠リズムの調節に関与しています。

脳内には「体内時計」とも言われる、睡眠・覚醒のサイクル調節機構があります。この体内時計を調節する脳の部位(松果体や視交叉上核)には、メラトニンという物質が存在します。メラトニンの量が規則的に変動することで、昼/夜のサイクルが調整されると考えられています。

メラトニン自体は、睡眠や時差ぼけ解消のためのサプリメント(メラトニンリキッドなど)として通販などで発売されていました。ロゼレムは、このメラトニンを化学的に修飾し、より活性が高くしたものです。
ロレゼムは不眠症患者を対象にした臨床試験を通じて、睡眠に入るまでの時間を短縮する効果が示されました。また、よく使われているベンゾジアゼピン系睡眠薬に認められる副作用である、投与中止によるリバウンド(不眠)が起こらないことも確認されました。

アメリカでは、不眠症患者数は約6千万人(!)と推定されるそうです。ただその中の大半が不眠症と診断されておらず、または適切な治療を受けていないと言われています。そのため、ロゼレムが売れるためには、バイアグラや抗うつ薬の場合と同様に不眠症に対する意識を高めるための積極的なキャンペーンが必要だと思われます。



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構造式

ラメルテオン


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